第5章 【番外編】マツノトクエスト 第四章
助けてくれた人にお礼を言いたくて見回すのだが、その姿は見えない。
おそ松やカラマツが周りに話しかけても全く返事がなかった。
「えーっと、なんだろう? 誰かが助けてくれたのはわかったけど姿見せてくれないしわからないね?」
「んだよぉ、照れ屋かよ! 素直に出てくればいい戦力になりそうなのになぁ!!」
「ノンノン、おそまぁつ! 案じる事はない、戦力と言えばこの体力に自信のあるカラ松がいるだろう~」
先程一瞬で倒された男が何を言うかとシラけた目で見てしまう。
触手のせいで若干溶かされてしまった服は見るも無残な状態になってしまい、最早あのイタイ装備を身に着けるしかなくなってしまう。
死にたくなる程嫌だったが、木陰に隠れその装備を身に着けた。
「……………なんだこれ、もう棺桶入りたい」
「無理! 生き返らせる程の金持ってねぇし、スカートじゃなくなっちゃったけど……に、似合う、ぜ? ぐく……ぶふぉっ」
「中々いいセンスを持っているじゃないかぁ! まるでカラ松ガールそのものだぞナス子!!」
心底人を馬鹿にするようにゲラゲラと笑うおそ松。
それとは逆にキラキラと恍惚とした瞳で私の装備を見るカラ松。
なんで?どうして私はゲーム世界でカラ松withナス子事変なるものをしなきゃいけないの!?
もう早く次の行先に向かいたんだけど……っ。
「はぁ、最悪!! 元はと言えばアンタ達がすぐ助けてくれないからこうなったんだからねっ、どっかの見知らぬ狙撃手の方が断然カッコイイわ!」
カッコイイと言う言葉に二人はピクリと反応し、とても不服そうな顔を返してくる。
いやね、だからさ……言われて当然だし、エロイとか言って何もしてくれなかったアンタ達が悪いんだけど?
「は~……結局見つからなかったな狙撃手っぽいヤツ」
「まぁ、いずれ縁があれば出会えるだろう」
私も助けてくれた相手の顔を早く見たいとは思うけど、まずは早く次の村に行ってすぐにでも装備を変えたい。
途中に出るモンスターをおそ松やカラ松が倒してくれるお陰でなんなく次の村へと進んで行った。
【 勇者おそ松一行 は 森を抜けて次の目的地へ向かった 】