第4章 【番外編】マツノトクエスト 第三章
次の行先がわからぬままだが、とりあえず村の外に出る。
あの村の連中は声が大きく、暫く地獄のようなコールが聞こえていたがやっと聞こえなくなって一安心。
前方の景色を見て目が輝く私、そこは草原があって少し先には森が見える。
やっと冒険が始まりましたって感じで気持ちがいい。
行先はわからぬままでは……あるのだが。
「勇者様がいるんだからそんな気にすんなって! 大丈夫大丈夫、ちゃんと導かれてる感じするし!! なはははは」
「信じていいんでしょうねそれ? まぁ、今はおそ松を信じるしかないんだけどさぁ」
草原の真ん中に人が横道する整備されてないような土の道を歩く。
天気はよくお日様の光と風が気持ちいい。
体感ゲームとは、こんな事も体感できるのかと感心してしまう。
「あとさ、さっき村長が言ってた6人の新品って、おそ松と……あと5人でしょ? だいたい想像つくんだけど、おそ松はわかってる?」
「ん? あの村から出た事ないし俺にわかる訳ないじゃ~ん、ま! それも旅してたら勝手に来るかもよ? なんたって俺ってばカリスマレジェンド、人間国宝になる男だしっ」
お決まりの言葉は覚えてはいても、やはり弟達の事も忘れてしまっているらしい。
こう考えると他の5人も、もしかしたら同じような状態で記憶を忘れてしまっている可能性がある。
折角皆でゲームして遊ぼうと思ったのに、寂しい気持ちは否めない。
「私、多分名前ならわかるよ」
「え、わかんの?! さすが伝説の純潔乙女(笑)」
どっかの末弟のように括弧笑いをつけてこられまたハリセンで殴りたくなる。
思い返せば自分の経験値が少し増えていた気がするのだが、あれは倒さないで人を殴っただけでもたまるのだろうか……。
試したくても何もされてないのにおそ松を何度も殴るのは可哀想か。
いや、おそ松相手だし別に気負いする事もないのだが。
「た、多分だよ? えっと、まずはイタイ事ばっか言って自分の事をカッコイイとか勘違いして、キザたらしい事ばっかするカラま……」
「おいっ、危なっ━━━━━━━━━━」