第3章 【番外編】マツノトクエスト 第二章
「えー、会話飛ばしちゃったよ!! ちょ、ちょっともう一回お願いします村長~!!」
村長の両肩を掴みもう一度説明を求める。
掴まれた村長は何の変わり映えもなく同じ顔と声色で口を開き大きく発言をする。
「よし、今こそ旅立ちの時じゃ!!」
「そ、村長さーん」
「よし、今こそ旅立ちの時じゃ!!」
「そんちょぉおおおおおお!!!」
「よし、今こそ旅立ちの時じゃ!!」
ダメだ、一度SKIPすると聞けないらしい。
どっかでログが確認出来ればいいんだけど、まだこの世界に来たばかりだしよくわからない。
ていうかチュートリアルすらなくない?
それともこれからあるのかな……。
「なははははは、村長おんなじ事しか言わなくなったし! 何で?! お前来るまでは普通に話してたのにっ」
「えぇ、そうなの? な、何で急に~……」
もう村長は諦める事にして、まずは自分の装備を買おうとゴールドを見る。
所持金0ゴールド。
っていうか、私はおそ松のパーティだから所持金はおそ松と纏められちゃってるんだよね。
「ねぇ、勇者。何でアンタさ……勇者の癖にお金持ってないの?!」
「はぁ? んなのもう装備やら酒やら賭博で使っちゃったよ」
「くぅ……なんで本当にコイツが勇者なのか!!」
言っていても仕方ないので適当に村の中を回って、家々に入り目ぼしい所を見ながらタンス、ツボ、本棚、ベットの下などを漁るRPGにだけ許された泥棒行為に走る。
途中、箱も見つけて、1000Gゲット!!合計金額1500G……。
【 勇者おそ松のパーティは 1500G 手に入れた 】
「うーん、ここの物価がわかんないから高いのか安いのか」
「ま! こんだけありゃ今より少しはマシなの買えるんじゃね? こんな村だし仕方ねぇよなー、酒でも買って」
「待て待て! 先に私の装備なんとかしたいんだけど?!」
今の私の服は防御力皆無の旅立ちセット。
それに比べて勇者おそ松は準備万端のちゃんとした装備の数々。
もうパーティに加わった訳だし、伝説のおと、乙女とか言われたら少しは身なりくらいは整えたい。