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【黒執事】スノードロップ【死神・裏】

第1章 出逢い


「着いたわ。ここ、自由に使って」

そう言って、エマは一つの扉を開いた。
中は6畳ほどの部屋になっていて、見渡す限り、生活に必要なものが揃っているといった感じだった。

「え、そんな。申し訳ないです」
「いいのいいの! こんな危険な夜に女の子が一人で外にいるなんて、絶対ダメよ! しかもこのフロアはほとんど空き部屋なのよ。本当、死神不足ってのも」
「あー! だから、ここはクロエちゃんが自由に使って良い部屋ってわけ!」
「ちょっとロナルド、どうしたのよ大声出して。それ、さっきワタシが言ったわよ」

一先ず、野宿せずに済みそうで、先程まで感じていたどうしようもない不安感は落ち着いた。
同性の人物が現れたことに安心したのかもしれない。
エマはかなり賑やかだが、とても良い人そうだ。
ロナルドとエマの二人は何か話していたようだが、すぐにエマだけその場から立ち去ってしまった。

「それじゃあクロエちゃん。時々来るから、何かあったら何でも言ってね。あとは彼から色々と聞いてちょうだいな」

そう言ったときのエマは、何故かニヤニヤしていた。
とりあえず、使って良いと言われた部屋に入り、ロナルドに話を聞くことにした。

「なんかごめんな、騒がしくて。あれでも結構良い奴なんだけどさ」
「なんか、元気出ました」
「そう? それは良かった」

私は部屋の隅にあるベッドに腰掛け、ロナルドは中央の椅子に、背もたれを前にして跨った。

「とりあえずここを本拠地にして、クロエちゃんのことを調べていけたら、と思ってるんだけど」
「あの、良いですか」
「何?」
「ここへ来る前、残業はしない主義って言ってませんでしたっけ」
「あぁ。言ったね」
「身寄りがあるのかもわからない、こんな私の世話をするみたいな面倒なこと、嫌じゃないんですか」
「全然」
「どうして」
「だって、これ仕事じゃないし。クロエちゃんはしっかり生きてるからね」
「……どういう意味ですか」
「まぁ深い意味は考えなくて良いよ。俺がクロエちゃんの力になりたいと思ったから、っつーんじゃ、納得できない?」
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