• テキストサイズ

【黒執事】スノードロップ【死神・裏】

第9章 青い霧


「違うのですか」

またウィリアムの冷たい声が私の耳に響く。
これ以上、どうしたら良いのかわからなかった。
ウィリアムの次の行動に身構えていると、彼は私を、頭から頰に向かって優しく撫でた。
先程までの横暴な振る舞いとは真逆の行為に、私は身震いした。
しかし、彼の表情は変わらず冷たいままだ。

「私には、貴方について知る義務があるのです」

今度は両手で私の頬を包み込んだ。

「わかってもらえますね?」

優しくも聞こえるその声が私の体を支配するように、身動きが取れなくなっていた。

ウィリアムは私から一度離れると、何かを内ポケットから取り出し、自分の口に含んだ。
そして再び私の元へ近寄り、私の頭と顎を抑え、キスをした。
私は自分の身に何が起きているのか理解出来なかった。
ただ、一瞬、息が苦しくなって無意識に口を少し開けてしまったが為に、その先に地獄を見ることになる。
私の開いた唇の隙間から、ウィリアムの舌が入り込んで来た。口内が彼の舌によって掻き乱される。
先程彼が自分の口に含んだ物が一緒に入って来ていた。
小さな固形物だった。舌に触れた感じからして、丸い何かだろうか。
得体の知れない物が口の中にあることへの不安感と、執拗に舌を絡められることによる妙な感覚が入り混じる。

部屋の中に、彼と私のリップ音が響き渡る。
脳が麻痺するようだった。

「飲んで」

キスされたまま、ウィリアムにそう囁かれる。
そして、ずっと口の中で泳いでいた固形物を、反射的に飲み込んでしまった。
その直後、ウィリアムの舌が私の口から抜かれた。
私は息を切らし、呆然としていた。



それからしばらくの間、放置されていた。
ウィリアムは私の横に立ち、一言も発することなく私を監視していた。
私はウィリアムの方を見ないように、目線を逆側に向けた。
/ 80ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp