• テキストサイズ

Little lieR【イケヴァン◆ifイベ原作】

第12章 TieS END Ⅰ(しがらみEND)


開かれたのは、哀しい過去の数々。



『19XX年 1月13日

16歳になる誕生日の日。

今日、お母様や一族の方々が………人間だったセバスチャンの家族が殺された。

どうして………一族が殺されなければならなかったのか、私にはわからない』



(これはレフィリアが一人きりで苦しんでいた記録だ)


『19XX年 1月21日

市長に何度も頼んでみたけれど、やはり一族を墓地に葬って頂けないみたい。

中庭の最も美しい場所に………、一族の方々を埋めた。

こんな事が………こんな悲劇は今回だけで終わってほしい。そう強く願って」


(レフィリア………。)


『19XX年 3月5日

セバスチャンが人間たちを閉じ込めてしまった。

きっと昔、私が『最後に恋が知りたい』と言ってしまったからね。

彼らが向けてくれる表情はどれも眩しくて

そのたびに私自身がどんなに穢れた存在か思い知らされるようで………。」



ぺらぺらと頁をめくると、表紙に封筒が括りつけられていることを見止めて。

震える手で、紐を解いた。


『もうすぐ命が消える私には、こんなことを言う資格はないのかも知れない。

でも………私は伝えたい。

ヴォルフ………、あなたを誰よりも愛してる。

直接伝えられないのはなんだか悔しいけれど、許して。

あなたをいつまでも………見守っているから』


「レフィリア………!」

手紙を胸に抱きしめて、彼は泣いた。


『忘れないで………。

私はいつでもあなたの傍にいるよ………』


温かな手が肩に置かれた………気がした。

花を纏ったような懐かしい香りが、ヴォルフを包み込む。


『あなただけが好きよ………。ヴォルフ』


囁きが、聞こえた。

陽光の中に、ふわりと微笑んだ彼女が見えて。

微笑み返すと、ゆらり………と消えていった。





/ 62ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp