第2章 ***
「さて…それじゃあシャワーでも浴びてこようかな」
「あ、お湯張っておいたので良かったらゆっくり浸かって下さい」
「ありがとう、結月ちゃんも一緒に入る?」
「わ、私はもう済ませたので大丈夫です!」
「そう?残念」
そう笑いながら、脱いだジャケットをベッドに放る九条さん。
そしてネクタイを弛めながら私の耳元に唇を寄せてきた。
「僕がお風呂に入ってる間…先に寝ちゃダメだよ?夜はまだまだ長いんだから…」
「っ…」
その言葉が何を意味するかは当然解っている。
私の頬にチュッとキスをした後、彼はバスルームへと消えていった。
(ハァ…びっくりした)
色んな意味で。
まさかこんなサプライズプレゼントを貰えるなんて思ってもいなかったし…
こんな高価な物…自分にはまだ分不相応ではないかと思ったが、彼の厚意を無下にする事なんて出来るはずもない。
このバッグがちゃんと似合うような…そして彼の隣を歩いても恥ずかしくないような素敵な女性にならなきゃ…と改めて思わされた。
(…でもホントに…彼はどこまで本気なんだろう……)
何の取り柄もない私と付き合ったってメリットなんか無いだろうに…
従順で若い子なら、別に私じゃなくて誰でもいいのかな…
ふとそんな事を考えてしまう。
初めは「例え遊ばれていてもいい」なんて思っていたけれど。
九条さんとこうして会う度どんどん彼に溺れてしまっている自分に最近気付き始めた。
あっさり捨てられる事になった時…私はちゃんと立ち直れるのかな…
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