第5章 濡羽色(ぬればいろ)
「ごめんね…」
小さな小さな声で、大野さんは謝った。
「俺の不注意のせいで…心配かけた…」
そう…もっと普段から自覚持って行動しろよって…
そう思うんだけどさ。
でも、本当は悪いのは大野さんじゃない。
悪いのは、俺たちがアイドルだからって意味もなく敵意を向けてくる奴らであって、大野さんじゃないんだ。
…そんなこと、わかってるんだけど…
「おーちゃん…」
相葉さんが目を赤くしながら、ぎゅっと手を握った。
「あやまんないで…」
俺も背中に回してた手に力を入れた。
「…ごめん…」
小さくつぶやいて、大野さんは顔を上げた。
「せっかく…嵐の誕生日だったのに…」
悲しげに眉を下げると、みんなを見渡した。
「ごめん…こんなことにみんなの時間、使って…」
「なにいってんの…バカ」
大野さんは俺の顔を見ると、微笑んだ。
「ああ…俺って、バカだよな…」
「そうだよ…バカ…」
「うん…」
その微笑みは、儚くて
なんだか大野さんが消えていきそうな、そんな気がした
「ニノ……?」
大野さんの肩を握る手に力が入った。
「ちょっと…痛い…」
「あ…ごめん…」
こわくなった