第4章 バッカス
「もー…いいから、どいて…重い…」
「ん…」
そう言ってるのに、退いてくれない。
パーカーにジーパンという格好なのに、酒飲んでるから熱くなってるのか、大野さんの身体はあったかくて。
あったかくて、いい匂いがするから。
なんか心地よくなってきて。
無理やり蹴飛ばすこともできたんだけど…
なんとなく…そのままでいた。
「なあ…ニノ…」
「んー…?」
大野さんの声、掠れてる。
「俺、おまえでも勃つかも…」
「はあっ!?」
ちょっと上げた顔は…
完全に欲情顔。
「な、な、な…」
「だっておまえ、かわいいもん…」
見たこともない、顔で…
これ…マジだ…
「や、やだ…俺、男だし…」
「知ってる…」
ごそっと手が動いたかと思ったら、俺のトレーナーの中に手が入ってきた。
「ちょ、ちょ、待って…」
…っていいながらも…
なんか俺も…おかしくなってきて。
酒で力が入らないせいもあったんだけど。
なんか、妙に…身体が疼く。
「なあ…ここ、感じる…?」
入ってきた手が乳首をぐりっと押さえた。
「んっ…」
ぞくぞくっと何かが背中を走っていった。
「感じるんだ…?」
「ち、ちがう…」
なんで…?なんかおかしい…