第4章 バッカス
くらくらしてる頭に、それはとっても心地いい匂いで…
「ニノだってかわいいじゃん…」
「へ…?」
くすくす翔ちゃんは笑ってる。
「俺、ニノだったら勃つかも…」
「なっ…何をっ…」
慌てて起き上がろうとしたけど、こてんと翔ちゃんは俺の胸板に頭を乗せてきた。
「ちょ、翔ちゃん…」
「んー…?未知との遭遇だなぁ…」
とかいいながら…
「寝ちゃったよ…オイ…」
だから飲みすぎなんだよ…
ワイン2本以上空けてるんだから…
俺の胸板の上の翔ちゃんは、すごく幸せそうな顔で。
くーくー健やかな寝息を立ててる。
「ちょお…大野さん…」
「…んあー?」
「おまえも眠いのかよっ…」
「おまえっていうな!」
「そこかよ!こだわるとこ!」
ひとりじゃ、どうしても翔ちゃんを担げないから、大野さんとふたりで翔ちゃんを担いで寝室に運んだ。
「ちょっと…ちゃんと持ってよ~」
「ああ?持ってるけど?」
大野さんも黙って泥酔してるから、足元が定かじゃない。
フラフラしながらなんとか寝室まで運んで、ばふっと3人でベッドに倒れ込んだ。
「あー…もうだめだ…くらくらする…」
「おまえも飲みすぎなんだからな?」
「飲まないでいられるかっ!」