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カラフルⅤ【気象系BL小説】

第3章 アリストテレス


いつもの如く無言で歩いていると、後ろから潤の野太い声が聞こえた。

「どあっ…」

振り返ると、潤はコケていた。
見事に地面にへばりついている。

…まあ、よくあることだ…

こんなシャッキリとした濃い見た目なのに、なんでもないところでよくけつまずいてる事がある。

「おい。大丈夫か?」

近寄って手を差し出したら、ちょっと泣きそうな顔で俺を見上げた。

「うわ…」

でた…また天使だ。

「ごめん…大丈夫…」

ここ最近、潤はアクが抜けてきたっていうか。
若い頃のギラギラしたものがやっと落ち着いてきた感じがする。

ちょっとダサいことになっても動じないし、道化的な役割も進んでこなすようになってきた。
二十代の頃だったら、絶対に考えられない松本潤だ。
それほど尖ってたし。

もっとも…
十代の頃の潤は、お笑い担当でもあったくらいだから、その要素は持ってたんだけどね。

『役者、松本潤』のイメージが固まってきたころから、そういう顔は見せなくなってたんだよな。

「いいから。手」

ぐいっと無理やり手を顔の前に差し出すと、潤はそっと俺の手を握った。
ぐいっと引っ張って起こしてやると、ちょっと照れたように横を向いてしまった。

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