第2章 アボカド
「…相葉ちゃん…?」
「ん?なあに?おーちゃん」
椅子に座ったまま、大野さんは俺と相葉さんを見上げた。
「…潤…?」
「ん?」
そっと両手を伸ばして、俺と相葉さんの手を握った。
「…だいすき…」
ぼそっと呟いて、真っ赤になった。
「えっ…なんつった!?」
「ちょっ…もう一回!」
「もおおお!言わないっ…」
そう言って大野さんは立ち上がった。
「ちょっと待って!おーちゃんっ…」
「も、もう一回…!大野さんっ…」
「やーだあああ!ニノ助けてぇっ…」
バタバタ逃げ回ってニノと翔くんの後ろに回り込んだ。
「では私、櫻井が…」
「どうやって助けんのよ…なで肩なのに…」
「ニノっ…なで肩関係ないだろおっ…!?」
ああ…ほんと、大事だ…
この瞬間、この人達と一緒にいられる時間が…
本当に、本当に大事だなって…
涙が出るほど、思った。
「大野さんっ…ちゃんと言ってよ!」
「もおっ恥ずかしいからっ…」
「おーちゃぁあんっ…」
「泣いても言ってあげないからっ…」
ふと、大野さんが俺の顔を見た。
ピタリと動きが止まった。
それを見て、みんな動きが止まって俺を見た。
「潤…?」
「なんだよ…」
なんだか、視界がぼやけてあんまりよく見えなかった。
「もお…松潤…」
ぐしゃっと相葉さんが俺の頭を抱き寄せた。
「ホントに泣くなよなぁ…」
「泣いてねーし…」
でも相葉さんの腕の中が心地よかったから、そのままにしてたら、相葉さんの肩越しに大野さんがひょこっと俺の顔を見た。
「潤?」
「ん?」
大野さんの顔が近づいてきて、ちゅっと俺にキスした。
相葉さんも笑って、俺にキスしてくれた。
甘い、甘いキス…
「…他所でやれ」
翔くんに追い出されるまで、俺たちはキスし続けたのだった。
甘い甘いキス…
もうやみつき
こんな美味しいもの
誰にもあげたくない
いや、あげないよ?
【END】