第4章 吉原の客
『お兄ちゃん…亮兄さん帰っちゃったな』
寂しく煙管を吸いながら言葉に出す
だが、兄に会えたおかげで少しは仕事を頑張れそうになった莉奈。
『今は午後一時…まだ時間があるなぁ。』
暇すぎて何をすればいいかわからない
適当に遊女がいる食堂にでも行こうと思い莉奈は部屋を出る
廊下を歩いていると他の花魁や遊女がいつもよりジロジロと見たりコソコソと話していた
莉奈は顔や服に何かがついてるのかと思い触ってみるが何ともない。
そのまま食堂へ向かう。
すると、急に手を掴まれた
『なに!?』
華「私よ、華奈」
『久しぶりね、こんな驚きながら再開するのは思ってもなかった』
莉奈は呆れながら言う
華奈は真顔でそれを見ていた
華「あんた、なんでそんな呑気でいられるの」
『な、なにが?』
華奈はいつも優しい声をしているはずなのに今日は声がきつかった。それに莉奈は少し怯えながら返事をする
華「美奈子さんから話聞いてないわけ?あんた、偉い貴族からご指名されてるそうよ」
『ぇ、は?貴族が?』
莉奈は頭の中がめちゃくちゃになっていた
こんな吉原に金持ちの貴族が来るとは思いもしなかった
貴族なら他のところから女をとると思っていた
それどころか、必ず女がいると思っていた
『なんで私…』
華「さーね?顔とかが良かったんじゃないの?でも、気おつけないといけないよ。」
『何を?』
華「相手は貴族。不満にさせたらあんた、命はないと思え…そして、気に入られたら買われるぞ?」
『!?、絶対に嫌』
華「あんたは、もう兄に予約されとるでしょう?だったら、行動は考えてしないと…それじゃ、私はご飯でも食べてくるわ」
華奈は手を振りながら個室へ戻って行った
莉奈はビックリしてその場から動けなかった