第3章 花魁
『お帰りになりますか? 』
男「そうだな…帰るとしよう。また」
そう言うと男は出ていった
一夜限りの恋愛…バカバカしい
どうして男達はそれに溺れていくのか分からない
お金で欲望が買える。
お金があれば何でもできる。
お金は裏切らない。
そう思える人は腐っているんだろう…莉奈は心の中でそんな事を考えていた
『なんて、バカバカしい… 』
莉奈は煙管を吸って気分転換する
1番落ち着く時は煙管を吸ってる時かも…なんて思う
ふと思う、父と母に会いたいと。
だが、吉原からは出られない
厳しい現実。
涙が出てくる、苦しい…悲しい…
『うぅ…っ…会いたいよォ… 』
美「誰にだい」
『美奈子さん…! 』
美「誰に会いたいんだい…まさか客なんて言わないだろうな」
『当たり前よ…家族よ 』
莉奈は美奈子を涙目で睨む
美奈子は怖さをちっとも感じない
それどころか莉奈を睨むかのようにして見る
美「お前さんも立派な花魁…言っとくけど二度と家族に会えるとは思うんじゃないよ…もし会える日が来たとしても…家族が死んだ時さ」
そういうと美奈子は莉奈の個室のドアを優しく閉めた。莉奈はそれを、悲しい目で見つめる
花魁は外見は綺麗に出来るが
心は逆に腐っていくんだと思う
莉奈はそう感じていた
『あ、雨だ…』
外はポツポツと小雨が降っている
莉奈は外を無表情で見つめる。
何かを思いだすように。、