第6章 逢引
無理矢理奪うのは本意ではないし、大人しく彼女の上から退き隣に座り直す。もゆっくりと身体を起こし俺の隣に座った。
「…今日も一緒に寝る?」
「寝ません。」
…彼女の守りは、今日も硬い。それからしばらく夜風に吹かれてから、俺たちは城へ戻った。
「秀吉様ずるい〜!僕らが必死で姫神子様の情報を探してる最中に、ちゃんと城下町に行ってたなんて…。」
大広間に向かうなり、半兵衛は頬を膨らませて声を上げる。周りを見てみると利家、三成、官兵衛も揃っていた。
「わがままを言うな、半兵衛。秀吉様は休暇だったのだからな。」
「分かってるよ〜…。」
「半兵衛くんも、今度一緒に行こうね?」
「うん!」
「そうやって直ぐ他の男を甘やかす!俺以外の男と堂々と目の前で約束しないでよ。」
「えぇ…!ちょっとくらいいいじゃん…!」
「だーめ、総大将命令!」
「そんな命令聞きませーん!ね、半兵衛くん!」
「うんうん、僕だってちゃんと遊びたいもんね〜!」
全く、本当言うことを聞かないというか、思い通りにならない子だな。
「それより秀吉様、姫神子様の件でお話があります。」
「お、なに三成。情報何か手に入ったの?」
「えぇ、利家が。」
「オレが聞いたところによると、他の領地にも姫神子の伝説が有るらしいぜ。」
「それ本当?」
「正確では無いですけれど、豊臣の領地だけでは確実に手詰まりになるからな。捜索の範囲を拡げるのは悪くないと思います。」
「僕と官兵衛で豊臣領は調べ尽くしたもんね〜…。」
「成程ね…ここから1番近い領地となると、織田軍になるわけだけど。」
「無闇に足を踏み入れれば、戦に成りかねませんよ。少し慎重に……」
「そうだな。何かいい策は有る?」
「なにかに変装していくのはどう〜?」
「それいいね!俺瓜売りにでも変装するかなー!瓜はいらんかねー、瓜はいらんかねー、って!」
「そんなのでいいの!?」
「おもしろそーじゃん!」
「どの道大勢で行くわけにはいかないからな。悪くない策だ。」
「それじゃあ、出発は明日!各自変装を何にするか決めておいてね。解散!」
さぁて、明日からやる事もまた決まった。これから楽しくなるなぁ。それに、少しでもに俺を意識させる事にも成功した。早く俺に堕ちておいで。