第7章 あんたは全部、俺のもの (家康×舞)
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番外編
「あっ、いた!三成くん…っ」
舞は三成を見つけると、家康の手を引き駆け寄った
「っ、舞様…と、家康様」
繋がれた手を見て、三成はフッと視線を逸らす
気まずそうにする三成に、舞は頭を下げた
「さっきはごめんね。私、ちゃんと家康に伝えられなかったから、家康が誤解しちゃって…」
「舞様…っ、いいえ、私の方こそ不注意で舞様にご迷惑をかけてしまいました。怪我は大丈夫そうですか?」
心配そうに見つめる三成くんにクスリと微笑み、大丈夫だよって伝えると、安心したのかホッとした表情を浮かべた
「家康様、先程はすみませんでした。家康様が思うような事は何も御座いませんのでご安心を」
「………。舞から聞いた。その…。突き飛ばして、悪かった」
「家康様……」
「けど、言った事は撤回しない。舞は俺のだから、誰にも渡す気なんてないから」
「ちょっと、家康…っ!」
「じゃ、ちゃんと謝ったし、もう行くよ」
舞の手を引っ張り、来た道を引き返してゆく舞と家康の背中を見送りながら、始まる事なく終わってしまった恋に深い溜息を洩らす
「叶わない恋とは…こんなにも苦しいものなのですね…」
ずきんずきんと痛む胸を押さえながら、三成は想いをグッと奥へしまいこんだ
2人の幸せを願いながら。
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