第7章 あんたは全部、俺のもの (家康×舞)
.
家康が顕如との戦から帰ってきて暫くたつ
長く不在が続いていた事もあり、仕事がかなり溜まっているらしく、毎日忙しくて会えない日々が続いていた
家康から預かった羽織のほつれも直し終え、手持ち無沙汰になった舞は、久しぶりに弓の稽古をしようと思い立ち稽古場へと向かった
「何か久しぶりで、ちょっとドキドキするかも…」
家康の御殿にいた時は、売り言葉に買い言葉で始めた弓の稽古だったけど、今考えるとそれも大切な時間だったなって思える
だから、これからも大切にしていきたい
少しでも、大切な人を守れるように
「よし、やる気出てきた!!」
稽古場へ着くと戦が終わったばかりという事もあり、中には誰もおらずガランとしていた
ちょっと緊張していたので、ホッと胸を撫で下ろす
舞は真剣な眼差しで的を見据え、弓を引いた
ビュン、と矢が飛び、的から少し離れた場所に刺さる
「うーん、やっぱり難しいなぁ…」
真っ直ぐ飛ぶようにはなったものの、的に当たりもしない現状にガックリと肩を落とした舞は小さな溜息をついた
その時、背後から声をかけられ思わず振り向く
するとそこには、天使の笑顔があった
.