第5章 守りたいもの 後編 (光秀×舞) R18
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光秀は、安土城へ着くとすぐに天守へと向かった
「信長様、光秀に御座います」
「ほう、久しいな。傷はもう癒えたのか?」
「はい。それより、急ぎ報告したい事が御座います」
「申せ」
「顕如の根城が判明致しました。敵の手勢はおよそ1万。これ以上勢力を拡大される前に叩くのが最善の策かと」
「ほう…あの生臭坊主が漸く尻尾を掴ませたか。ならばこの機を逃す手はないな。すぐに政宗と家康を呼べ。兵が集まり次第すぐに出立する」
信長は控えていた家臣を呼び寄せ、政宗と家康に伝令を送った
それを黙って聞いていた光秀が、堪らず口を開く
「信長様。恐れながら申し上げます。どうかその役目、この光秀にもお命じ下さい。家臣には挙兵の準備を整えておくよう命じてあります」
「ならん。貴様はこの城に留まり、秀吉と共にここを守れ」
「何故そのように仰るのか理由をお聞かせ下さい。怪我ならもう完治しております」
普段ならすぐに引き下がる光秀だが、今回ばかりは引き下がる訳にはいかない
頑として認めようとしない信長に、焦りの色を滲ませる
そんな光秀を見て、信長は一つ溜息をついた
「貴様の怪我など気にしておらん。次に貴様に何かあれば、あれが悲しむであろう」
「それは…舞の事、ですか?」
「あれは貴様に怪我を負わせた事を悔いておる。あの日、この城に戻ってきた後すぐにここへやってきて、お前の身の回りの世話をさせろと直談判しに来おった」
「………」
「認めるつもりはなかったが、ちょうどその時に貴様から書状が届いたからな。舞の為に許可したのだ。だというのに、治ったばかりで無理をして貴様に何かあれば、俺はあれに一生恨まれる」
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