第20章 甘い悪戯 (光秀×舞) R18 BDリクエスト作品
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この時代には、誕生日を祝う風習がない
けれど、ひょんな事から明日が光秀の誕生日だということを知った舞は、何かお祝いをしようと必死に頭を悩ませていた
「光秀さん、何をしたら喜んでくれるかな…」
そもそも、光秀の趣味や好みなど全く知らない舞には、皆目見当もつかない
「料理…は違うし…甘味も、あんまり好んで食べてるイメージないしなぁ…」
独り言をぶつぶつと言いながら考えてみるものの、一向に思いつかないまま時間だけが過ぎていく
「よし…っ。とりあえず城下に行ってみようっ!」
舞は勢いよく立ち上がると、急いで部屋を出て行った
その後姿を見つめる人物がいた事に気付かないままーーーーー
「ほう…なかなか面白い展開だな」
舞の独り言を聞いていた信長は、くつくつと喉を鳴らしながら笑みを浮かべていた
舞が光秀に惹かれ始めている事に気付いていた信長は、敢えて舞に伝わるように光秀の情報を流したのだが、思っていた通りの反応を示し思い悩む舞の姿に思わず口角をつり上げた
「全く…悪趣味ですね」
「だが貴様も、光秀の反応が見たいと思うだろう?」
溜息をつきながら歩いてくる家康に、信長は悪戯を思いついた童のように愉悦を滲ませた
「まぁ確かに…気にはなりますね」
普段は感情を表に出さない光秀が、舞の前で時折見せる優しい笑みは…好意の表れか、それとも単なる戯れか
どちらにしろ、舞が光秀にとって特別な存在である事は明らかだった
「既に、賽は投げられた。後は…静観するとしよう」
信長はそれだけを言い残すと、天主へと戻って行った
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