第2章 優しい嘘に御用心? (謙信×舞) R18
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翌日。
まだ夜が明けぬ頃に、舞は目覚めた。
身じろぎをしようとするが、身体が動かない。
驚いて顔を上に向けると、そこには愛しい人の整った顔があり、自分が今、抱きしめられている事に気がついた。
「け、謙信様?!」
「ん…、ああ、目覚めたのか…」
「は、はい。その……、いつお戻りになられたのですか?」
「ああ、昨日の夜だ。それより…身体の具合はどうなのだ?熱は………。どうやら、下がったようだな」
額に手を当て安堵の表情を浮かべる謙信の姿に、ああ…私はまた謙信様に心配をかけてしまったのだと、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「あの…謙信様…」
「何だ?」
「心配かけて、ごめんなさい…」
「全くだ。お前には本当…困ったものだな」
謙信様は溜息をつきながらそう言うと、身体をグッと抱き寄せてきた
久しぶりに感じる謙信の肌の温もりに、胸がいっぱいになる
「謙信様が戦から戻るまでに、何とか治そうと思って頑張ったんですけど…」
「成る程、それで…治れば黙っているつもりだったのだな」
「謙信様……?」
先程までは感じられなかった不穏な空気に、言葉を詰まらせる
謙信様、怒ってる……?
「舞…。俺に隠し事をするなど…絶対に許さぬ。そんな考えを二度と起こさぬよう…お前には仕置をせねばならんな」
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