第12章 貴方という存在 (信長×舞) R18 アンケ2位祝SS
.
物事には理由があるのが常で、意味を成さない私の理由では納得がいかないのだろう
眉間に寄った皺は更に深く刻まれ、見つめる瞳が鋭さを増す
少し気まずい空気が流れ思わず俯きそうになると、更に顎を持ち上げられ視線が絡み合った
「貴様がこの乱世に残ると決め俺の元を訪れた時、貴様には想う相手がいるのだろうと思っていた。相手が誰であれ、貴様を織田家ゆかりの姫として送り出すとその時に決めた。だが…どれだけ注視しようとも貴様の気持ちがわからん」
「信長様にも、わからない事があるんですね…」
何でもお見通しで、嘘や誤魔化しが全然通用しない信長様なのに、私の気持ちがわからないなんて。
ずっと貴方の傍にいたい。ただ、それだけなのに。
「貴様は何を考えている。一体何がしたいのだ」
見つめる瞳が不安げに揺れていて、目を離せなくなる
(どうして、そんな顔をするの…?勘違いしてしまいそうになる…)
「私も、信長様が私をどうしたいのかわかりません…」
いつも、私が考えるよりずっと先を考えてるし、いつだって私は、信長様の掌の上で踊らされてて。
私の気持ちなんてお構い無しで、毎日翻弄されっぱなしで。
それでも、やっぱり傍にいたいと思ってしまうくらい、貴方が好きなのに、私の気持ちは全然伝わらない
でも、それでもいいって思ってた
思っていたのに。
「私はただ…信長様の傍にいたいだけです…」
堪えきれない想いが、涙と共に零れ落ちていく
それをじっと見つめていた信長は、舞の想いを受け止めるように言葉ごと唇を奪った
「っ、ん………っ」
.