第12章 貴方という存在 (信長×舞) R18 アンケ2位祝SS
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「夕立が来そうな空だったからな。店主に、菓子でも出してゆっくりさせるよう文を書いておいた」
「えっ?!だから急に茶菓子を持ってきてくれたんだ…」
雲一つない空で、雨が降りそうな感じは全くなかったのに…それを予見して先回りするなんて。
(もしかして、桶狭間の時にも雨が降るのがわかってたのかな…?)
そんな予感さえしてくる。
「雨が降るかもって…何でわかったんですか?」
「匂いだ。少し湿り気を帯びていたからな」
さも当たり前のように言ってのける信長に、舞はただただ、驚くしかなかった
「あの…。有難うございます」
とりあえず、信長のお陰で濡れずに済んだ事への御礼を伝えると、信長は口角を吊り上げた
「それは、どれに対しての礼だ?」
「えっ?どう言う意味ですか?」
言葉の真意を測りかねていると、衝撃的な言葉を告げられる
「ちゃんと、行きも帰りも共をつけてやっただろう」
「えっ?!まさか、秀吉さんと光秀さんの事ですか?!」
あまりの衝撃に再び驚きの声を上げると、信長の唇は更に弧を描いた
「今日は公務で秀吉が城下の見回りをしているのは知っていた。あれの事だ。すぐに貴様を見つけ世話を焼きたがるだろうと容易く想像できた」
(確かに、すぐに見つけて世話をやいてくれたけど…)
「光秀には夕刻、安土城へ来るように伝えていた。貴様が荷物を沢山抱えて歩いていれば、あれは必ず貴様を助けるだろうと踏んでいた。その通りになっただろう?」
(確かに…光秀さんも最後まで荷物、運んでくれたけど……)
そんな先の事まで考えてるなんて、本当に信じられない
「信長様は、何でもお見通しなんですね…」
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