第10章 傍にいるだけで (幸村×舞) 誕生日祝SS
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「今夜は朝まで離さねーから、覚悟しろよ」
「っ、幸村…っ」
「煽った責任、ちゃんと取れよな」
熱を帯びた瞳で見つめられ、心臓が痛いほど早鐘を打ち舞の身体も次第に熱を帯びてゆく
「ずるいよっ。そんな言い方…。私だって、幸村にもっと触れてほしいって思ってるのに…」
「あーもう無理。我慢出来ねー!濡れちまうけど、さっさと帰るぞ!」
差し出された手にそっと手を重ねると、幸村は舞の手を引き雨の中を走った
城に着く頃には二人共びしょ濡れだったが、この時間さえも愛おしいと思える
繋いだ手に力を込め微笑むと、幸村が振り向いて頬を赤らめた
「っ、ほらっ、これで髪拭け」
懐から手拭いを取り出し、髪をわしゃわしゃと撫で回す
「っわっ、私は村正じゃないからっ」
「いーから、やらせろ。お前に風邪とか…引かせたくねー」
「ふふふっ」
手拭いで視界が覆われて見えないけど、きっと真っ赤なんだろうって思ったら笑みが零れた
色んな幸村が見られて、幸せな一日だったな
想いを込めて、幸村にギュッと抱きつく
幸村は、そんな舞を優しく抱きしめ返した
「幸村、今日はありがとう。とっても楽しかった!」
嬉しそうに微笑む舞の頬に唇を寄せチュッと口付けると、舞の顔が真っ赤に染まる
「なっ、幸村…っ」
「朝まで離さねーって言っただろ?お前の全部、愛してやるから」
「…………っ、う、ん…」
甘い囁きに胸が高鳴り、鼓動が速くなる
部屋に入るなり褥に組み敷かれ、濡れた着物は剥ぎ取られ、湿り気を帯びた肌に幸村の唇が触れてゆく
幸村も服を脱ぎ、互いに一糸纏わぬ姿で身体を寄せ合い、絡ませあった
冷え切っていた身体は熱を持ち、溶けてしまいそうな程に熱い
それが心地よく、心の中にも幸せが満ちてゆく
「幸村…大好き……」
「っ、馬鹿。これ以上煽んじゃねー!」
「んんっ………」
噛み付くように口付けられ、ぐずぐずに蕩けさせられる
色んな事があった一日だったけど、幸村と一緒にいられるだけで幸せだって思えるから、願わくば…こんな日々がずっと、続きますように
七夕に願いを込めて、愛しい人をギュッと抱きしめた
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