第10章 傍にいるだけで (幸村×舞) 誕生日祝SS
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「雨、酷いね…」
「そーだな」
久しぶりの逢瀬に出かけた幸村と舞は、大雨に見舞われて、店の軒先で雨宿りをしていた
今日は幸村の誕生日だからと信玄様が一日お休みをくれたのに、こんなに雨が降るなんて。
隣に立つ幸村の顔を覗き込むと、眉間に皺を寄せて不機嫌そうだ
「ごめん、私がなかなか決められなくて…」
「別に…お前に怒ってるわけじゃねー」
「じゃあ、何でそんなに怒ってるの…っ!?」
フィッと顔を逸らし視線を合わそうとしてくれない幸村の袖を掴みギュッと引っ張ると、幸村は少し驚いた顔で舞を見つめた後、ハァッと溜息をついた
「何でお前が怒ってんだよ」
「だって、幸村がさっきからこっちを見てくれないし、何にも話してくれないから…っ!!」
せっかく久しぶりに2人で出かけて、好きな反物を見て、美味しい甘味を食べて、凄く楽しい時間を過ごせていたのに。
雨が降り始めて、身動きが取れないままずっと雨宿りしてるうちに幸村はどんどん機嫌が悪くなるし、楽しかった時間までも否定されたような気持ちになって舞はぽろぽろと涙を流した
「っ、馬鹿!何泣いてんだよ…っ。お前が泣く事ねーだろっ」
「っ、泣きたくだってなるよ…っ。私、前からずっと今日を楽しみにしてたんだよ?!一日中幸村と一緒に過ごせるんだって。なのに…っんっ、ん」
堰を切ったように溢れ出す言葉
その言葉と想いは言い終えるより先に降ってきた口付けによって遮られ、飲み込まれてゆく
顎を持ち上げられ、僅かに開いた唇の隙間から舌を差し込まれ、舞は息を乱していた
「っん…っ、幸、村…っ!」
幸村の胸をドンドンと叩き真っ赤な顔で抗議すると幸村は漸く解放してくれたが、居心地悪そうに視線を逸らされる
「何で急に…っ、意味わかんないよ…っ」
「お前が泣くからだろっ!俺は別に、お前を泣かせたかったわけじゃねー。この雨じゃお前を連れて行きたかった場所へ連れて行けねーし、どんだけ待っても止みそうにないし、どうしてこう上手くいかねーんだって思ってただけだ」
「幸村………」
耳まで真っ赤に染め、想いを口にした幸村が愛しくて、大きく逞しい背中にそっと手を回すと、幸村は驚いて目を見開いた
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