第9章 祈りと願いと 後編 (光秀×舞) R18
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それから2日後
安土へ送った書簡の返事が送られて来たのだが、そこに書かれていたのは、少し意外な言葉だった
「家康を援軍で送るからもう暫く待っていろ、とは…信長様らしくない言葉だな」
書簡に目を通すと、それをクシャリと握りしめる
早く終わらせて安土へ戻りたいと思っているのに、足止めを食らい光秀は顔を歪ませた
「光秀様、どうかされましたか?」
「ああ、少し予定が変更になっただけだ」
光秀は、不安そうな顔で見つめる家臣に状況を説明し、家康を迎え入れる準備をするように指示を出す
家臣が慌ただしく出て行った後、光秀は深い溜息をついた
「私の身を案じてか?まさか…。いや、有り得るか…」
安土城へ舞を預ける事は、命の危険とは別の意味で危険だという事は初めから分かっていた
それでも舞の安全を最優先に考え信長様にお願いした
その決断に後悔はない
だが、舞に触れられない日々が続き不安を感じずにはいられなかった
早く帰って、この腕の中に抱きたい
だが、現状はかなり厳しい状況だった
すぐに平定出来たとしても、戦の事後処理や環境の整備などやらなければならない事は山積みで、とても一月では戻れそうにない
「舞に詫びの文をだすとしよう」
光秀は何度目かわからない溜息をもらし、筆を走らせたのだった
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