第8章 祈りと願いと 前編 (光秀×舞) R18
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「よし、全員揃ったようだな」
「はっ、信長様」
信長は席に着くと、舞を隣に座らせた
「全員知っていると思うが、光秀が留守の間舞を安土城へ住まわせる事になった」
「皆さん、また暫くお世話になります」
舞がペコリと頭を下げると、信長は舞を優しい眼差しで見つめる
「貴様の腑抜けた顔を肴に酒を飲むのも悪くない。今日は存分に楽しませろ」
「もうっ、相変わらずですね」
舞は信長の盃に酒を注ぎながらふわりと微笑んだ
「光秀も変わったな。余程貴様が大事らしい。あの光秀がこの俺に頼み事をするとはな」
「光秀さんは、昔から優しいですよ?きっと、みんなが気付かなかっただけで…」
「ほう。貴様、それは惚気か?」
「そ、そんなんじゃないです…っ」
「くくっ、どうだかな」
信長は、真っ赤に頬を染める舞を見つめ、まさか光秀と恋仲になるとは思っていなかった過去を思い返した
(貴様とあやつは真逆の場所にいると思っていた。だから気にも止めていなかった。だが、あやつと恋仲になったと知った時…ひどく胸が騒ついた。この気持ちに気付いた時にはもう、遅かったがな…)
「信長様、私、家康や三成くんと全然話せてないのでちょっと話してきますね!」
「そうだな。あやつらも貴様と話したいだろう」
「ふふっ、有難うございます」
家康の元へ駆け寄っていく舞の後ろ姿を見つめながら、信長は再び酒を飲み始めた
まだ胸の奥に燻る想いも一緒に流し込むようにーーーー
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