第1章 不器用な恋 (家康×舞) R18
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翌日
三成は、朝餉の時間に来なかった舞を案じていた。
昨日の怪我が悪化したのだろうか?だとしたら、私の責任だ。
三成は、早々に朝餉を済ませると、舞の部屋を訪れた。
「舞様、失礼致します」
返事を待たずに部屋に入ると、舞は布団に入ったまま、すうすうと寝息を立てていた。
少し浅い呼吸が気になり、近付いて舞の枕元に座り、頭に手を乗せ熱がないか確認する。
「熱は、なさそうですね…」
安堵の表情を浮かべ、舞の寝顔を見つめると、その愛らしさに胸が熱くなり、額に乗せたままの手を頬へと滑らせた。
そのまま顔を近づけて、舞の唇へ自身のそれを重ねようとした、その瞬間。
後ろから、聞き慣れた声が降ってきた。
「お前…今、何しようとしてるか分かってる?それ以上、舞に触れたら許さないから」
「っ、家康様……?」
いつもより低く、語気の強い家康の声に戸惑いながら、頬に触れていた手をゆっくりと降ろしていく。
先程まで感じていた舞の温もりが消え、寂しさを感じながら…三成は掌をグッと握りしめた。
「私は、舞様をお慕いしております。こればかりは、たとえ家康様と言えど譲れません」
戦線布告ともとれる三成の発言に、家康は眉を寄せる。
「言っとくけど、俺だってお前に譲る気なんかないから。それにもう、舞は俺のだし、潔く諦めろ」
「っ、家康様?!それは……っ」
「何度も言わせるなよ。俺は、舞と恋仲になった。だから、今後…舞は俺の御殿へ住まわせる」
「……………っ」
家康様と舞様が恋仲に…。
現実を受け止められず、呆然とする。
あの後、何があったのか…やはり、退くべきではなかったと後悔だけが残るけれど、あの方が家康様を選んだのならば、祝福、しなければ…。
痛む胸を抑えて、なんとか声を絞り出す。
「家康様…、舞様を、お願い…致します」
「お前に言われなくても、そのつもりだから」
家康の揺るぎない瞳に本気度が伝わり、三成はそれ以上は何も言わずに、その場を後にした。
胸を締め付ける痛みを堪えながらーーーーーー
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