第4章 黒い衝動
「はぁっ…!」
軋むベッドの音が部屋に響く
「あはは!可愛いよ…美しいよ…」
「や…めて…っ!」
「んははは!もっと泣いてごらんよ…僕を駆り立ててくれよ…!」
「っ!…は…ぁ…!」
「はははは!これから僕の芸術作品になるんだよ…君は!どうだ?最高だろ?」
「…………」
「あはは!感動して何も言えないのかな?さて、君は…」
女はピアノ線で吊られ、赤いベッドシーツに包まれる
「君は…まるでマリア像のようだ…!美しいよイザベラ!」
イザベラの両腕には抱かれた赤ん坊の人形があった
そして目には黒い涙のあとが残る
「はぁはぁ…美しい…っ…!」
部屋には優雅に流れるレコードが同じフレーズが再生される
「これこそ…僕の欲していた芸術作品…!」
男は吊られたイザベラを見つめうっとりする
「あははは!止まらない…!もっともっと…美しい芸術が…ほしい…!」
男は黒いリップスティックを取り出し壁に書き出す
『もっと愛に触れさせてくれ。もう止まらないんだ…誰か止めてくれよ』
「リリー…ゾーイ…イザベラ…みんな美しい…これこそが愛の形だよ?…君たちは僕に愛されてるんだ。特にリリー…君は特別だよ…ふふふ」
その言葉を残し男はイザベラの部屋から出ていく
部屋にはレコードが流れ続けていた