第23章 生贄の花嫁(真田幸村)
領主「信玄様、この者を差し上げます。
どうか命までは・・・」
領主は片目を髪の毛で隠した一人の子供を、
信玄に差し出した。
信玄「へえ・・・綺麗な目の子だな」
領主「そうでしょう」
部下1「あんなガキでもこんな形で役に立つとはな」
部下2「馬鹿、信玄様に聞こえる!!」
信玄「もう遅い、この子がなんだって?」
領主「なんでもございません。さぁどうぞ」
信玄「この子は俺の物になるんだよな?」
領主「左様でございます」
信玄「ならこの子のこと知る権利あるよな?」
領主「・・・っ」
信玄「・・・話してくれるよな?」
信玄は顔こそ笑顔だが、
目元は氷のようなまなざしで領主を見ていた。
領主「その者のもう片方の目を見れば分かると思います」
信玄「目・・・?」
信玄はふとその者と言われた子供の長い前髪をあげ、
その瞳を見た。
その瞳は、隠されていない方の目と色が異なっていた。