第11章 【甘い罠】
ハーマイオニーの策略?によって、第1回目のホグズミード行きをドラコと一緒に過ごすことになったクリス。最初はなんだか気がのらなかったが、ドラコと一緒にホグズミードに行くのも久しぶりで、何だか子供の頃――と言ってもまだ3年前の話だが――に戻った気がして、少しドラコに対する嫌悪感も薄れてきた。
それにハーマイオニーは「普段通りで良い」と言っていたので、これと言って気負うことなくドラコと一緒に街を回っていれば良いだけだと思えば、易いものだった。
「こんな風に君とホグズミードに来るのも久しぶりだな」
「そうだな、ホグワーツに入る前はよくおじ様に連れてきてもらっていたな」
街並みも特に変わった様子はなく、強いて言えば今日はハロウィーンだからホグワーツ生があちこちにいる事だけだった。少し懐かしい街並みに、クリスもだんだん機嫌が良くなってきた。
「懐かしいなあ……そう言えば私、ハニーデュークスのお菓子が大好きだったな」
「そうだな。君ってば、いつも山のようにお菓子を買って、母上や僕に無理矢理押し付けてたっけ」
「無理矢理なんかじゃないぞ、おば様もお前も喜んでくれていたじゃないか」
「そうしないと、君が機嫌を損ねて拗ねていたからじゃないか。しかも母上には美味しいイチゴ味やメロン味のチョコレートをあげていたのに、僕には鼻くそ味やドブの臭いがするガムばっかりくれていたし」
「ああ、あれはわざとだ」
「ほらな、やっぱり無理矢理じゃないか」
そんな事を話していたら、当時のドラコの顔を思い出して、クリスはクスクスと笑い出した。
そう思うと、ホグワーツに入る前は本当にドラコと一緒にいた時間が多かったかを思い知らされた。いくら父親が仕事人間でほとんど家に寄り付かず、生活の大半をマルフォイ家で過ごしていたからといって、こんなに長い時間一緒に過ごしていたなんて、ホグワーツに入るまで分からなかっただろう。
いや、ホグワーツに入っても、夏休みは殆どマルフォイ家に入り浸っているので、今もあまり変わらないかもしれないが。それなのに、昔に比べ最近はどうして、こうつまらない喧嘩ばかりしてしまうのだろう。