第7章 【占い学と死神犬】
「皆様がお選びになったこの『占い学』は、魔法の学問の中でも大変難しいものです。この『占い学』は生徒が学問を選ぶのではなく、学問が生徒を選ぶのです。ですから『眼力』の備わっていない方には何も学ぶ事はありません。教科書でさえ、皆様のお役にたつかどうか……」
それを聞いて、クリス、ハリー、ロンの3人はハーマイオニーの顔をチラリと見た。教科書が役に立たないと聞いて、ハーマイオニーはまさに青天の霹靂といった顔をしていた。さらにトレローニー先生の演説は続く。
「この学科では、神秘のベールに包まれた繊細な事象を読み解きます。ですから天から授けられた才能ある者だけが残っていくことでしょう。1年間、占いの基本的な方法をお勉強いたします。まずはお茶の葉を読む授業から。来学期は手相学に進みたいと思います。――ところで、そこの貴女」
ぼんやりと生徒達を見つめていた先生が、急に視線をパーバティに集中させた。突然の事にパーバティは驚いてビクッと肩を震わせた。
「赤毛の男子にはよく注意しておいた方が良いでしょう」
トレローニー先生の忠告に、パーバティは息をのむとすぐ近くに座っていたロンから、サッと椅子を引いて離れた。そらからトレローニー先生は、ラベンダーに棚から大きな銀のティーポットを持ってこさせ、ついでに「10月16日に貴女の1番恐れている事が起こるでしょう」と要らない予言を言い渡すと、生徒達に紅茶を注いで回った。
「では2人1組になって、紅茶を最後の滓が残るまでお飲みなさい。そして左手でカップを持ち、滓をカップの内側にそって3回まわしましょう。それからカップを受け皿の上に伏せ、最後の一滴が切れるのを待ってからご自分のカップを相手に渡し、相手に読んでもらいます。『未来の霧を晴らす』の5、6ページを見て葉の模様をご覧なさい。分からない方はあたくしが手助け致します」
クリスはハーマイオニーと、そしてハリーはロンといつも通りの組み合わせでペアになると、早速紅茶を飲み干して、言われた通り最後の一滴まで水気を切ると、ハーマイオニーのカップと交換した。クリスはハーマイオニーのカップを受け取ると、『未来の霧を晴らす』の5、6ページ目を開いて茶葉の模様を読んだ。