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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第5章 【second contact】


「ここにシリウス・ブラックを匿っている者はいない、早々に立ち去れ!!」

 そして先生は杖から銀色の煙の様なものを出すと、得体のしれない何者かはどこかへ消え去っていった。それと同時に、クリスの左手首の痛みも治まってきた。それから間もなくして、ランプの明かりが再びつきはじめた。
 そこで気づいたのは、ハリーが意識を失って床に倒れている事だった。クリスは自分を襲った得体の知れない恐怖で気づかなかったが、皆は気づいていたらしい。
 ハーマイオニーはハリーの名前を呼びながら、少し強めにハリーの頬を叩いた。

「ハリー、しっかりして!ハリー」
「う……う~ん」

 ややあって、ハリーはゆっくりと目を開けた。ハリーの顔色は薄暗いコンパートメントの中でもはっきりと分かるくらい青ざめていた。その上、額に冷や汗をかいている。ロンとルーピン先生でハリーを抱きかかえ座席へと戻した。

「君、いきなり倒れたんだよ?覚えてる?」
「全然……僕、あいつに体の内側からすべて吸い取られるような気分がして、それで――あれは何だったの?」
「ディメンター。吸魂鬼と言ってアズカバンの看守の一人だ。あいつらは人の幸せや、酷い時は魂を好んで食らう連中だ」

 そう言いながら、ルーピン先生は何処から出したのか、大きな板チョコを割って、ハリーに渡した。ハリーは受け取ったが、なぜ今チョコレートを差し出されたのか理解できず困った表情を浮かべていた。

「食べると良い、気分が良くなるよ」

 皆を安心させるように優しく笑いながら、ルーピン先生は他の3人にも同じように板チョコを渡した。先生から4等分された大きな板チョコを受け取るとき、クリスは触れた指先から全身に電撃が走ったような感覚がした。

「それじゃあ、私は運転席に行ってくるから。みんな、ゆっくり休んでいて」

 微笑みながらそう言うと、ルーピン先生はコンパートメントを出て行ってしまった。その後姿を、クリスは穴が開くほどじーっと見つめていた。それに気づいたハーマイオニーが、クリスを座らせようと声をかけた。

「どうしたの?クリス座って、貴方も酷い顔色よ?」
「遂に……」
「え?」
「ついに見つけた――私の『ハリー・ポッター』」
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