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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第5章 【second contact】


 翌朝、クリスは今までにない位乱暴な起こされ方をされた。いつもの様に夢遊病の患者の如くふらふらと1階に降りて行くと、亭主のトムにフライパンとおたまを借りたウィーズリー夫人が、クリスの耳元でそれらをガンガンガンと叩きならした。こんな大きな音で起こされるのは、2年生の時ロンが『吠えメール』を貰って以来だ。流石のクリスもこれには驚いて、何が起こったのかもわからず、金属音だけが耳に残り目が覚めた。

「さあクリス、シャキッとしたら朝ご飯を食べなさい」
「いえ……私は紅茶の一杯も飲めたら良いんで――」
「駄目よ、朝ご飯は一日の栄養源なんだから!しっかり食べて、しっかりと体を動かすのよ!」

 そう言って、ウィーズリー夫人はクリスの皿にマッシュポテトとソーセージを山ほど乗せた。これにより、クリスは出発の時間になってもまだ胸焼けがして、誰かと喋ろうと言いう気分になれなかった。しかし朝の支度でみんな忙しくしていて、誰もクリスが無言でいることに気づいていなかった。
 ようやく魔法省の車が来ると、クリスはハリーと一緒に一番後ろの席に座った。その前の席にロンとハーマイオニーが座り、まだクルックシャンクスとスキャバーズの問題でもめていた。

「2人は元気が有り余っているみたいだな……少しはこっちにも分けてもらいたいくらいだ」
「そう言えば、クリス顔色が悪いみたいだね?どうかしたの?」
「なれない早起きと、朝食をたっぷり取りすぎたおかげで、胸やけがするんだ。悪いけど駅に着くまで静かにしてもらえないか?」
「それは前の2人に言った方が良いみたいだよ」

 ハリーの言う通り、2人はコンパートメントの中でクルックシャンクスを出す、出さないの問題でもめていた。言い合いをする2人の間に割り込むように顔を出して「いい加減静かにしないと、この場で吐くぞ」と低い声で脅すと、クリスの顔色を見て、ぶつぶつ言いながらもやっと2人とも静かになった。これで快適な旅が送れると言うものだ。

 最後にウィーズリー氏が乗り込むと、ようやく車が出発した。車はマグルの車なら絶対に走れないような細い隙間を通りすぎ、たまに歩道の上を走り、そして木々を避けながら順調にキングズ・クロス駅までたどり着いた。
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