第4章 【運命の人】
「やっと終わったのか。そんな事しなくたって、ハーマイオニーは忘れ物なんてしないだろう?」
「そういう慢心が心に隙を作るのよ。貴女は荷物のチェックは良いの?」
「ご心配なく。我が家の屋敷しもべがすでにチェック済みだ」
クリスは髪の毛を乾かしながら答えた。こういう時ばかりは家に屋敷しもべがいて良かったと思う。でなければ1年間の荷物を自分で用意しなければならない。帰るときは乱雑に荷物しまっても、荷解きする屋敷しもべがいるのでこれまた楽ちんだ。
クリスが寝る支度をすべて終えた時、やっとハーマイオニーがシャワー室から出てきた。ハーマイオニーの方が髪の毛の長さも量も多いので、乾かすのに手間がかかっった。
ハーマイオニーがタオルで髪の毛を拭きながら、突然こんな事を聞いてきた。
「ねえ、クリス。貴方って――ハリーの事が好きなの?」
「ブッ!!」
突然の質問に、クリスは思いっきり吹き出してしまった。しかしハーマイオニーの顔は真剣そのものだった。逆にその真剣さが怖かった。
「なっ、なんで突然そんな質問になるんだ?!」
「だって、あなた達夏休みの2週間中ずっと一緒にいたんでしょう?」
「ちょっと待て!だからってなんでハリーの事が好きって事になるんだ?顔を合わせた回数ならドラコの方が上だぞ!!」
「そうなの?」
「そうだ!ハリーが2週間ダイアゴン横丁にいるって言うから、2人で宿題をやったり買い物したりしていただけだ!それ以外は家で本を読んだり、ドラコをからかって遊んでいたぞ!!」
「本当に?」
「本当の本当だ!誰がこんな得にならない嘘を吐くもんか!!」
心臓に悪いハーマイオニーの質問に、まだ心臓がドクドクいっている。しかし、こんな話を振って来ると言う事は――
「もしかして、ハーマイオニーの方がハリーを好きなんじゃ……」
「違うわ!私は――」
「――私は?」
それから妙な間があって、ハーマイオニーの顔がボッと赤く染まった。
「知らない!もうお休みなさい!!」
そう言って、ハーマイオニーは布団を頭までかぶって貝のようになってしまった。それから夜中まで、クリスはハーマイオニーに話しかけたが、ハーマイオニーは一言たりとも返してくれなかった。