第31章 【ピーター・ペディグリュー】
「やはり……君たちは入れ替わっていたんだね」
「全ては私が悪いんだ。2人が死んだあの日、私はピーターの隠れ家に行く手はずになっていた。ピーターが無事かどうか確かめるために……しかしピーターは居なかった。隠れ家に争った形跡はなく、もの抜けの空だった。嫌な予感がして私はジェームズとリリーの隠れ家に急いだ。そして2人死体を見た時、その時私は全て悟った。自分がしてしまった事、私の行いが2人を死に追いやった事を――」
ブラックの黒く窪んだ目から、涙の様なものがきらりと光った。声は震え、手も震えている。ブラックはそれを隠す様にグッと握りこぶしを作った。そしてブラックはロンの方に向き直った。
「さあ、話はここで終わりだ。ピーターを渡してくれ」
「ロン、悪い様にはしない。もしスキャバーズがただのネズミなら、傷1つ付くことはない」
それを聞いて、ロンはためらいがちながらも、ゆっくりとスキャバーズを握っていた手をルーピン先生に差し出した。ルーピン先生はスキャバーズを受け取った。
「ハリー、杖を返してくれるかい?」
ここまで来たら、返さざるを得ない。ハリーは預かっていたルーピン先生の杖を返した。スキャバーズはキーキー喚きながら今まで以上に狂ったようにがむしゃらになって手から離れようと暴れている。しかしどんなに抵抗しようと、ルーピン先生は力を込めるばかりで、スキャバーズを決して放さなかった。そしてスキャバーズに杖を向けた。
「シリウス、準備は良いかい?」
「ああ、リーマス。この時を私は12年も待ったんだ」
シリウスも、スネイプ先生の杖をスキャバーズに向けていた。
「一緒にするかい?」
「ああ、そうしよう」
2人は顔を見合わせて微笑んだ。今やハリー、ロン、クリス、ハーマイオニーの4人は事の成り行きを黙って見守っているだけだ。
「3つ数えたらだ。3――2――1!」
青白い光が2つの杖から発射された。スキャバーズは先生の手から離れ、空中に浮かんだ。
すると先程のシリウスの変身を逆再生で見ているかのように、頭が大きくなり、鼻が縮み、毛に覆われていた手足がニョキニョキと伸び、長く伸びていたヒゲが無くなった。そして埃だらけの床に1人の小柄な中年の男がドサッと落ちた。