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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第30章 【在りし日の思い出】


「今思うと、自分でも愚かな行為だったと思うよ。正直、間一髪と言うときが何回もあった……後になって皆で笑い話にしたものさ。本当に馬鹿だった、自分たちの才能に酔っていたんだ――」

 ルーピン先生は自分たちを馬鹿だと言っていたが、もしクリス達の内、誰かが狼人間になったら自分たちも同じことをしただろう。先生の話は、クリスの心をキュウッと締め付けた。
 先生は尚も話を続ける。

「もちろんダンブルドア先生を裏切っていたと言う罪悪感も持ち合わせていた。折角私を入学させるために先生が取って下さった措置を無視して、3人もの人間を非合法の『アニメ―ガス』にしていたなんて先生は夢にも思わなかったはずだ。しかし、4人で満月の晩の冒険を計画する度、私は都合良く罪の意識を忘れた。それは――今も変わっていない」

 罪の意識なのか、先生はまた視線を落とし顔を歪めた。この話はいったいどこまで続くんだろう。クリスはこれ以上先生の苦しんでいる顔は見たくなかった。

「この約1年間、私はダンブルドア校長にシリウスが『アニメ―ガス』だと告げようかどうしようか迷っていた。だが告げる勇気が私にはなかった。私は本当に罰当たりだ。ダンブルドア先生のお蔭でホグワーツに入学できたし、こうして大人になっても狼人間だと言う事でまともな職に就けない私に、教師と言う職を与えて下さったというのに……」

 ルーピン先生は罪悪感に苛まれ、力いっぱい手を握りしめて良心の呵責に耐えていた。

「そしてあろう事か、私は自分をだまし、シリウスはヴォルデモートから特別な闇の魔法を教わり、アズカバンを脱出したのだと自身に言い聞かせた。そう言う点では、私はスネイプ先生の言う通りの人間なのかもしれない」
「スネイプだって!?」

 ブラックが突然スキャバーズから視線を離し、ルーピン先生を見た。その顔は驚きと嫌悪感に満ちていた。

「そう言えば、先程も何度かスネイプと言う名前が出てきていたが――何故今あいつの名前が上がるんだ!?」
「シリウス、セブルスもホグワーツで働いているんだ」
「何だって!!?」
「落ち着いてくれ、シリウス」
「あの……スネイプ先生がいると何か悪い事でもあるんですか?」

 思わずクリスは口をついた。ルーピン先生はまる授業で難しい質問をされて困った様な表情を浮かべ、ブラックはフンッと突っぱねた。
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