第27章 【本領発揮】
沈黙が走る。もう手は無いのか――そう思いかけた瞬間、ハーマイオニーが何かを決意したようにキッと顔を上げた。
「分かったわ、ようはハリーじゃければいいのね。クリス、行くわよ」
「行くって……待てよハーマイオニー!」
ロンの制止もきかず、ハーマイオニーは談話室を飛び出した。クリスはどうして良いか、半分混乱してハリーとロンの顔を見たが、2人も混乱した顔をしていて頼りにならない。
とにかくハーマイオニーだけ行かせるわけにはいかず、クリスも急いでその後を追った。
4階まで走っていくと、隻眼の魔女の像の前で、ハーマイオニーが腕組みをして待っていた。
「さあ、どうやってこの下に行くの?」
「それは……『ディセンディウム』って唱えながら杖で突くとこぶの部分に隙間が出来るんだ」
「分かったわ。『ディセンディウム!』」
「えっ?」と言う間もなく、ハーマイオニーは杖を取り出して合言葉を唱えた。するとこぶに隙間が開いて、あっという間にハーマイオニーは体を滑り込ませて5分もしない間にマントを取って来た。クリスはそのたくましい行動力に、ただ目を瞬くだけだった。
それからハーマイオニーはそれを慎重にローブの下に隠して談話室へと戻って行った。談話室では、マントを持ち帰って来たハーマイオニーの姿に、男子諸君は驚きを隠せなかった。
「ハーマイオニー、君、勉強のし過ぎで頭がどうにかしちゃったんじゃないか?マルフォイは引っ叩くは、トレローニー先生のクラスは飛び出すわ。挙句の果てに規則を破ると分かってて『透明マント』を取りに行くわ――」
「あら、これくらいどうって事ないわよ。でしょ?」
ロンの言葉に、ハーマイオニーは得意げに言って見せた。