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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第27章 【本領発揮】


「犬が……大きな犬が見えます」
「まあ!それは死神犬のグリムじゃありませんこと!?近くに男の子はいません?黒髪の眼鏡をかけた男の子は!!?」
「いえ、見えません。でも……犬が苦しんでいる。黒い影に襲われて――」
「それで?その犬はどうしました?苦しみもがいて、その後は?どこかに男の子の影は?」
「男の子はいません。その代り……一筋の光が、黒い影を……追い払って――」

 それからよく見ようと目を見開くと、もやが元の様に何の変哲もない固まりに戻ってしまった。先生は必死に男の子の影が無いかと訊いてきたが、無いときっぱり言うとガッカリしたように頭を下げた。

「まあまあの出来ですわね。さあ、貴女で最後の生徒です。もう寮へお戻りなさい」

 クリスは急いで梯子を下りると、その先ではハリーが待っていてくれた。クリスが急いで懐中時計で時間を確認すると、もう2時を過ぎていた。
 2人で急いで螺旋階段を下り、談話室へ向かうと部屋の隅にロンとハーマイオニーの姿があった。2人が見たトレローニー先生の予言の事を言おうとしたら、それより先にロンとハーマイオニーが口を開いた。

「今しがたハグリッドから手紙が届いたんだ」
「控訴裁判に、負けたそうよ――処刑は日没ですって」

 ロンがクシャクシャになった手紙を渡した。涙で汚れてはいなかったが、震えていたのか、字がガタガタで解読するのに苦労した。
 自分も胸が張り裂けそうなくせに、手紙の最後にはクリス達を思いやる様に「お前ぇさん達には見せたくないから来るなよ」と書いてあった。そんなハグリッドの心中を思うと、つい目頭が熱くなった。

「行こう、ハグリッドの所へ。独りで死刑執行を待つなんてさせられないよ」

 キッパリとハリーが言った。しかしロンが少しうつむいたまま首を横に振った。
 
「でも無理だよ、時間は日没だ」
「そうよ、ブラックが未だに捕まっていないのに、城を出るなんて出来ないわ」
「『透明マント』を使おう!ハリー、マントはどこにあるんだ!?」
「隻眼の魔女の像の下だけど、僕がそんな所をうろついているって、もしスネイプに見られたら……」
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