第27章 【本領発揮】
ルシウスおじ様はこれ幸いとばかりに委員会に脅しをかけ、ハグリッドが自滅するよう仕向けたんだ。これではハグリッドが可哀相すぎる。クリスは頭を抱えた。
「……なんとかして、ハグリッドの所に行けないかな?」
「無理だよ、厳戒体制はまだ解かれていないし、もうすぐテストが始まるし……」
「そうか……」
クリスは気分が沈んで、その日の勉強はほとんど手につかなかった。
そして、ついに試験がやってきた。嫌でもホグワーツにいる以上、通らねばらなぬ道だ。
最初の試験は『変身術』の試験だった。初めから厳しい試験でみんな疲れていた。中でもティーポットを陸亀に代えるという試験が難しくて、皆「尻尾の所がポットの注ぎ口のままだった」とか「口から湯気を吐いていた」とか言っていた。
クリスの陸亀は、なんとか亀の形をしていたが色が白っぽかった。ハーマイオニーだけが「陸亀というより海亀に見える」と言って心配していたが、それが皆にはただの自慢にしか聞こえなかった。
その次の試験は『呪文学』だった。ハーマイオニーの言っていた通り『元気の出る呪文』が試験として出た。2人でペアを組み、お互いに術をかけ合うという試験だった。クリスは運が良くハーマイオニーとだったので、お蔭で『変身術』の失敗を気に病むことが無くなった。ハーマイオニーもクリスが術をかけて以降「陸亀じゃなくて海亀に見える」と言わなくなった。
それから夕食の後、皆そろって談話室に戻ったが、のんびりする暇もなく明日の試験の復習に追われた。
翌日、クリスは『マグル学』『魔法薬学』『天文学』と、嬉しい事に得意科目の連続だった。お蔭でその日は気分良く夕食を取ることが出来た。しかし明日の『魔法史』と『薬草学』という嫌いな科目続きで、その日の夜はハーマイオニーと同じくらい復習に余念が無かった。
そして木曜日の午前中は、待ちに待った『闇の魔術に対する防衛術』だった。いったいルーピン先生はどんな試験を出すかと思ったら、今まで見た事が無い様な試験だった。
まずグリンデローが入ったプールを渡り、レッドキャップが潜んでいる穴だらけの場所を通り、ヒンキーパンクのいる沼地を通り抜け、最後にボガートが閉じ込められている大きなトランクに入って戦うと言うものだった。