第27章 【本領発揮】
グリフィンドールがクィディッチ優勝杯を手にした事で、談話室はこれまで見た事のないほどの大盛り上がりを見せていた。以前のレイブンクロー戦より盛り上がり、宴会は夜が明けるまで続いた。パーシーは勿論、あのマクゴナガル先生さえも、この大宴会を許してくれた。
フレッドとジョージはまた例の抜け道を使って、お菓子やバタービール、それに厨房からも料理を持って来てくれて、皆で飲めや騒げやの大賑わいを見せた。特に今回の功労賞ものであるハリーは、寄って集って皆から握手やスニッチを掴んだ時の感想を求められ、クリス達でさえ中々近づけなかった。
ハリーとゆっくり話が出来るようになったのは、夜の帳が下りてからだった。フレッドとジョージがリーと一緒に歌を歌い始めると、皆それをはやし立てた。その傍で、バタービール片手にハリーはぐったり疲れていた様だったが、ハッフルパフ戦での雪辱から見事復活し、優勝杯まで手にしたのだから、興奮で目は爛々と輝いていた。
「ハリー」
「なに?」
「ありがとう、優勝してくれて」
あのクリスが、クィディッチに勝って素直に「ありがとう」と言うなんてこれが初めてだった。しかし、見事あのドラコの目の前でスニッチを掴んでくれたおかげで、少し気が晴れたのは確かだった。その感謝の気持ちを素直に伝えたかった。ハリーは照れくさそうにしていたが「こっちも応援ありがとう」と言った。
それから数日、グリイフィンドール生はまだお祭り気分が抜けなかった。反対にスリザリン生はみんな機嫌が悪かった。特にドラコの機嫌は最悪だった。あと一歩と言う所でハリーにスニッチを掴まれ、8年連続優勝杯獲得を逃したのだ。面目丸潰れで“あの”ドラコが暫くは大人しく過ごしていた。
しかし、お祭り気分もそう長く続かなかった。ハーマイオニー曰く、人生最大の転機が近づいてきていたのだ。そう、期末試験と言う名の転機だ。ハーマイオニーは誰よりも多くの授業を取っていたので、その分勉強も人一倍、いや、人十倍は必要だった。