第26章 【クィディッチ優勝杯】
ハリーの耳元では、心臓が早鐘を打つ様にガンガンと鳴り響いていた。身を屈め、ファイアボルトを全速力で急降下させていた。
――早く、早く、もっと早く!――
ハリーは自分自身に言い聞かせながらドラコに近づいた。そしてついに並んだ!ハリーは両手を伸ばし、片方の腕でドラコの腕を払いのけた。その次の瞬間――ハリーはスニッチを掴むと、箒の柄をぐいっと引き戻し、スニッチを掴んだ手を高々と上げ、上空へ戻った。
「やったーーーー!優勝は、グリフィンドーーーール!!!」
リーの実況が終わるか終わらない内に、観客席から爆発的な熱狂の渦が巻き起こった。皆が皆、歓声を上げ、グリフィンドールチームが下りてくるのを待てず、皆柵を乗り越えてグラウンドに降りてきた選手達に熱烈な歓迎をした。
クリスも、ロンとハーマイオニーと一緒にハリーの傍に駆け寄った。ハリー達選手はみんな肩車されて、大勢の生徒達から握手を求められていた。
何か気の利いた言葉がかけられたら良かったのだが、こんな時に限って言葉が出てこず、クリス達はハリーに向かって満面の笑みを向けただけだった。それでも、ハリーには3人の感動が伝わったらしい。
ハリーもにっこり笑って、「後で談話室で会おう」と言って親指を上げた。
やがてダンブルドア校長がやって来て、キャプテンのウッドに大きな優勝杯を渡した。ウッドは涙をボロボロ流しながら、校長に頭を下げ、そして優勝杯をハリーに手渡した。ハリーはそれを高々と掲げ、今まで見た事ないほどの笑顔で太陽を見上げていた。
ついにグリフィンドールが優勝杯を手にした。その輝きは、何ものにも劣らない素晴らしいものであった。