第26章 【クィディッチ優勝杯】
「よう、お前さん達もう来ちょったのか?」
聞きなれた声に反応して振り返ると、ハグリッドがそのデカい図体をなんとかして、ロンの隣に割り込ませた。いつも着ているモールスキンの上着から大きな双眼鏡を取り出し、試合を観戦し始めた。
ここの所、ハグリッドはバックビークの事で落ち込みっぱなしだったから、今日の様なお祭り騒ぎはいい気分転換になるだろう。しかし、そう思っていたのは初めの10分間だけだった。
ワリントンが奪ったクアッフルを持って疾走していると、その横からフレッドがブラっジャーを顔面に叩きつけた。その隙にケイティがクアッフルを奪いゴールへと向かい、見事先制点を獲得した。途端にグリフィンドール席から爆発的な拍手が送られた。
そこまでは良かった。その後、先制点を入れられたことに腹を立てたスリザリンの選手が、わざと体当たりをしてケイティは箒から落っこちそうになった。その仕返しに、ジョージが棍棒をワザとフリントの後頭部目がけて打ち付けた。
「それまで!!」
フーチ先生はカンカンになってホイッスルを鳴らした。スリザリンが故意に体当たりをしたとしてペナルティーを取り、グリフィンドールが故意に棍棒で殴りつけたとしてペナルティーを取った。
それからもこんな泥仕合が続いた。体当たりはもちろん、スリザリン選手が「クアッフルと間違えた」と言ってアリシアの頭を掴んだりして、その度リーは罵詈雑言の限りを尽くし、マクゴナガル先生からお叱りを受けていた。
しかし時間が進むにつれ、マクゴナガル先生もスリザリンの卑怯な手に我慢できなくなってきたらしい。スリザリンのボールがアリシアの頭を「ブラッジャーと間違えた」と言ってぶん殴ると、先生は「なんたる卑怯な!!」と言って怒鳴った。
「さあ、試合は40対10でグリフィンドールのリードです。クアッフルを持つはアンジェリーナ選手!行け、そこだ!よーし、スリザリンのキーパーを破り、今、ゴールッ!!!得点は50対10でグリフィンドールのリーードッ!!!」
リーはマイクを持ったまま、今にも踊りださん勢いだった。クリスの隣りで試合観戦していたハーマイオニーは、得点を決めるたび両手を上げて叫んでいる。ロンも大声を張り上げすぎて、声がかすれ始めていた。