第26章 【クィディッチ優勝杯】
ハーマイオニーがブチ切れて『占い学』を辞めるという事件が起こってから間もなく、イースター休暇がやって来た。去年までならこの休暇中は自分の好きな事ができたのだが、3年生にもなるとあらゆる教科から宿題が山の様に出て、休みを楽しんでいる事なんて出来なかった。
クリスはロンと一緒に談話室の机を占領してレポートを延々と書き綴っていた。そしてその合間合間に、2人でヒッポグリフの控訴の準備をしていた。
ハリーは可哀相に、イースター休暇明けの最初の土曜日にスリザリンとの試合が待っていたので、朝から晩までクディッチの練習に明け暮れて、宿題をする暇なんて殆どなかった。
しかし、それでもハーマイオニーよりはマシだったと言えよう。『占い学』を辞めても、ハーマイオニーは誰よりも多く科目を取っていたので、いつも朝早く起きては図書館で勉強して、夜は誰よりも遅くまで談話室に残っていた。その所為でハーマイオニーの眼の下にはクッキリと隈ができ、いつにも増してヒステリックになっていた。
「あー、やってられん!」
ある日の午後、ロンと2人で宿題を終えた後、ヒッポグリフについて図書館で調べ物をしていたクリスが、今しがた読んでいた本に突っ伏して愚痴をこぼした。
バックビークは確かに危険な動物では無いとクリスも思っていたが、本を読むにつれ、ヒッポグリフは3年生が手を出すには早い動物だと思い知らされた。やはりあの性格と鋭い鉤爪と口ばしは、もっと上級生になってからやるのが妥当だと本には書いてあった。
「クリス、気持ちは分かるけど頑張ってよ。ハーマイオニーやハリーにこれ以上負担はかけられないんだぜ?」
「分かってる、分かっているよ。ただいつも思うんだが、どうしてハグリッドはこういう時に限って図書館に現れないんだ?おかしいだろう?」
確かにバックビークが処刑されそうになっていて、ナーバスになっているのは分かる。しかしだからと言って自分が一番しっかりしなけえればいけない時に、小屋に閉じこもりっきりになるのは間違っているとクリスは思っていた。