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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第23章 【胸の棘】


「あー、それは、その……なんだ……もしもの話しだ」
「嘘よ、私にはハッキリ聞こえたわ!ロンもハリーもどうにかしてるわ!特にロン、彼方いったいどういう神経しているの!?ブラックが彼方にあんな事をした後だって言うのに!!」
「ねえハリー、誰か何か言っているのが聞こえるかい?」

 ロンのふざけた態度に、限界まで達したハーマイオニーの堪忍袋が遂にキレた。

「ハリー、彼方も彼方よ!ブラックが彼方達を狙っているって知っているのに、ノコノコと城を離れるなんて!もし今度ホグズミードに行ったら、私マクゴナガル先生にあの地図の事をお話しするわ!」
「そうかい、君はハリーを退学させようって言うんだ!やるならやれよ、ただしその時は僕も一緒だ!」

 両者の間で、バチバチと火花が飛び散っていた。折角みんなで話しをして平和的解決を目指していたハリーとクリスは、どうしてこうなってしまったんだと、頭を抱える一方だった。
 その時、オレンジ色の何かがシュッとロンとハーマイオニーの間に割って入った。クルックシャンクスだ。クルックシャンクスはハーマイオニー膝に乗って、ゴロゴロと喉を鳴らした。ハーマイオニーは一瞬怯んだが、キッと厳しい視線をロンに投げつけ、何も言わず女子寮へ続く階段を上って行った。

「ロン……お前、人の苦労を無駄にするなよ」

 折角これで仲直りが出来ると思っていた矢先だったので、クリスはガッカリと言うか、ドッと疲れが出て来た。しかし、ロンの主張は変わらなかった。ハリーを独り残してホグズミードに行く方が、よっぽど友達思いではないと言うのだ。
 確かに、何度もホグズミードに行った事のあるクリスには分からない感覚かも知れない。だがクリスも、ハリーとロンが2人そろってホグズミードに行くのは危険だと思った。

「よし、じゃあこうしよう。私が2人の監視役になる。ハーマイオニーには内緒だぞ」
「それでこそ僕らのクリスだ!」

 ロンは嬉しそうに指をパチンと鳴らした――。
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