第22章 【愚か者】
「ド、ドラコお前まさか、それ、ディメンターのつもりなのか?」
答える間もなく、マクゴナガル先生がやって来て、こんな下劣な行為をするなど恥を知りなさいと言ってスリザリンから50点減点した。それを聞いてハリー、ロン、クリスの3人は顔を見合わせますます笑った。
それからグリフィンドールの談話室で勝利の宴が始まった。宴会は大いに盛り上がりをみせ、夜になっても止むことは無かった。途中、フレッドとジョージの姿が見えなくなったと思ったら、両手いっぱいにバタービールのビンやハニーデュークスのお菓子を持って帰ってきた。きっと『例の抜け道』を通って仕入れてきたのだろう。お菓子をそこら中にぶちまけて皆に大盤振る舞いをしていた。
クリスが『その事』に気づいたのは、ハリーが皆の輪の中に半ば無理矢理ハーマイオニーの腕を引っ張ってきたところだった。ロンが聞こえよがしに言った。
「あーあ、スキャバーズが喰われていなければなあ。あいつ、ハエ型ヌガーが大好物だったのに」
「それは残念だったな、ロン。でも悔やんでも仕方ないだろう?それに“どっかのクソ猫”が野放しにされている限り犠牲者は増えていく一方だ」
ロンに続き、クリスも聞こえる様に言い放った。するとハーマイオニーは癇癪を起したように泣き出したかと思うと、分厚い本を抱え女子寮への階段を走って上って行った。それを見たハリーが言った。
「2人とも、もういい加減許してあげたら?」
「「ダメだね」」
ロンとクリスの声がハモった。ハリーは良いかもしれない、念願のファイアボルトが無事戻って来て、それで大勝利を収めたのだから。しかしクルックシャンクスに食べられてしまったスキャバーズは戻ってこないし、ルーピン先生の事が好きだと知っていながら、先生の事で偉そうな知ったかぶりをして、謝りもしない態度はそうそう許せるものではない。
「あいつが謝ってきたらこっちだって考えなくはないよ。でもハーマイオニーの事だ、自分が悪いって絶対認めないだろうし、未だにスキャバーズは男子寮のベッドの下でぐーすか寝てるって思ってるんだ」
「私も、あの知ったかぶりさえ治れば許さなくもないな」
2人の意見を聞いて、ハリーは頭を抱えた。ハッキリ言って、今のハーマイオニーが自分の非を素直に認めるなんてあるだろうか。否、無いだろう。