第22章 【愚か者】
ジニーが髪の毛と同じくらい顔を真っ赤にして怒った。しかしフレッドもジョージに賛同していた。
「ジョージの言う通りだ、ロン。今更悔やんで何になる?あいつは無芸大食でつまらない奴だっていつもぼやいていたじゃないか」
「でも、1年生の時に僕たちの為にゴイルに噛みついた!――ハリーもクリスも覚えているよね?」
「ああ……うん」
「奴の人生で1番の見せ所だっただろう」
フレッドは胸の前で十字を切ると、仰々しく手を組んで天井を見上げた。
「おお、我らの友スキャバーズよ。その清らかなる魂よ永遠なれ」
「と、言うわけだ。ロン、今度ホグズミードに行った時にでも新しいネズミを買えよ」
それを聞いてピンときたクリスは、明日こっそり秘密の抜け道を使ってホグズミードに行くつもりだから、一緒に行かないかと密かに耳打ちした。ロンはほとんど聞こえない声で「うん」とだけ言った。
ハリーもハリーで、どうにかロンを元気づけようと、明日の練習の後、ファイアボルトに乗ってみないかと誘った。これはかなり効果があったようで、ロンは一瞬だけ元気になって「やった!本物のファイアボルトに乗れるんだ!」と喜んだ。
そして次の日、念のためハリーから『忍びの地図』を借りて、周りに誰もいない事を確認すると、クリスとロンは隻眼の魔女のコブを通ってホグズミードに行った。背の高いロンは、クリスやハリー以上に狭いトンネルを通るのが困難だったが、小一時間かけてハニーデュークスに着くと、達成感と興奮で少し元気になったようだった。
「ロン、何か欲しい物があったら遠慮なく言ってくれ。今日は私のおごりだ!」
「本当に良いの!?」
「ああもちろん、だが持って帰れるだけにしておいてくれよ?」
「じゃないとばれた時『悪戯仕掛』達に合わせる顔が無い」とクリスはニヤッと笑った。それからハニーデュークスでお菓子をいっぱい買った後、ゾンコの店でクソ爆弾を買い、『三本の箒』で一緒にバタービールを飲んだ。バタービールは体を温めるばかりか、ロンの心の中まで温めた様だった。