第15章 【悪戯仕掛人】
ハリーは今度は『特殊効果』と書かれたお菓子の棚に目を移して、フラフラと人ごみの中に消えてしまった。クリスは急いでハリーを探し出すべく、自分も人ごみをかき分け、やっとハリーを見付けるとローブのフードを引っ張った。
「ハリー、いい加減にしないと……」
「分かった、分かったよ。ロンとハーマイオニーを探せばいいんだろう?でも、どこにいるんだろう?」
「仕方ないから、しらみつぶしに探すしかないだろう。良そうな場所と言えば、ここか、三本の箒か、あとは叫びの館とか……」
まさかパンジー・パーキンソンが紹介した、あの甘ったるい恋人同士専用の店にはいないだろう。居たら居たで、驚きを通り越して称賛に値する。
その時、ふと聞き覚えのある声が耳に入った。間違いない、ロンとハーマオニーだ。クリスは声のした方に顔を向けた。『異常な味』と書かれた看板の下に、他の人達に紛れて、ちょこっとだけ2人の頭が見えた。
クリスはまだ黒胡椒キャンディーをみているハリーを引っ張り、『異常な味』と書かれた看板の下に行き、どうせなら驚かせようと画策した。ハリーと一緒に2人の真後ろに忍び寄ると、パッと目を隠した。
「「だーれだ?」」
「その声!?」
「もしかして、クリスと……ハリー!?」
「「正解!」」
ロンとハーマイオニーは振り返ると、まるで2人のお化けでも見ているかのように目を丸くしていた。その顔を見て、ハリーとクリスは互いに顔を見合わせてニヤッと笑った。
今まで悪戯ばかりしているフレッドとジョージの気持ちが分からなかったが、確かにこれは癖になりそうだと、密かにクリスは思った。