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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第15章 【悪戯仕掛人】


 そこは倉庫の様で、棚がびっしりと並び、木箱が種類別に区分けされていた。そして誰もいないことが分かると、ハリーが倉庫に出て、クリスもそれに続いた。ついにホグワーツ城を出て、ホグズミードまで来たのだ。2人は顔を見合わせてにんまりと笑った。

 そして上へ続く階段を見付けると、そこの一番下で耳をそばだてた。すると女の人の声で「ナメクジゼリーをもう1箱ちょうだい。あの子たち、この調子なら店ごとごっそり買って行ってくれるわ」と聞こえ、2人は急いで空いている木箱の陰に隠れた。間もなくして男の足音が聞こえ、棚の物を物色し始めた。

 その時、ハリーは驚くべき行動に出た。なんと四つんばいで木箱の陰から飛び出ると、階段下まで歩いていってしまった。そして唇の動きだけで「早く!」と言うと、慎重かつ迅速に階段を上っていってしまった。クリスは「ええい、ままよ!」と心の中で叫ぶと、ハリーについて階段を上っていった。

 階段の上は、ハニーデュークスのカウンターの裏になっていた。急いでその場を離れると、2人はやっと立ち上がって背筋を伸ばすことが出来た。

「どうだ?初めてのハニーデュークスは?」
「最っ高だよ!僕、こんなにお菓子がいっぱいあるお店に初めて来たよ!!」

 ハリーはキラキラと輝く瞳で並んでいるお菓子を見つめていた。カラフルなマシュマロ、色んなナッツをコーティングしたチョコレート、色鮮やかなキャンディー。それにホグワーツ特急でハリーが良く買うカエルチョコレートや百味ビーンズ、大鍋のケーキももちろん揃っていた。

 店内はホグワーツ生でごった返して、誰もハリーの存在に気づいていない。クリスはロンやハーマイオニーを探そうとしたが、ハリーは店内のお菓子に目を奪われて動こうとしない。クリスはハリーが、クリームがいっぱい入った何百種類以上もあるチョコレートの棚の前から動かすのに要らぬ苦労をした。

「ハリー、見ていても買えないぞ。ロンとハーマイオニーを見付けてお金を借りないとな」
「分かってる……分かってるけど……」
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