第15章 【悪戯仕掛人】
「我、ここに誓う。我、善からぬ事を企む者なり」
すると、見る見る内に杖の先からインクの様な物が、細い線を描きながら羊皮紙に広がり、あちこちを交差しては線と線がぶつかり、紙の上を縦横無尽にのびていった。羊皮紙の隅々まで線が広がると、1番上に緑色のぐるぐるした丸文字が現れた、
【ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズ】
我ら『魔法いたずら仕掛け人』ご自慢の一品
『忍びの地図』
――地図、そう、これは紛れもないホグワーツ城を鮮明に描いた魔法の地図だった。しかも驚くのはまだ早い。地図に描かれた小さな点に、細かい字で名前が書いてある。今もこの空き教室に、小さな点が4つ、ジョージ・ウィーズリー。フレッド・ウィーズリー。ハリー・ポッター。クリス・グレインと4人の名前が書かれているではないか。これには流石のクリスも目を瞬いた。
「驚くのはこれを見てからだぜ、お坊ちゃんにお嬢ちゃん」
フレッドは得意げな顔で、つつっと指を動かして地図に書かれている細い道を指さした。それは何と――
「ホグズミードに直結している道だ」
「全部で7つある。が、フィルチの爺さんがこの内の4つを知っている。しかし残りの道を知っているのは絶対僕達だけだ!そうそう、5階の鏡の後ろからはもう行けなくなってる。何故か去年の冬まで利用していたけど、崩れて通れなくなっちまった」
それを聞いて、去年『秘密の部屋』に続く地下道を、魔法の暴発で崩れさせた記憶が蘇ってきた。あれが直接関係しているかは分からないが、取りあえず黙っておくことにした。
「それからこっちの道は危険すぎる、何しろ真上にあの暴れ柳が植わってるからな。しかし、こっちの隻眼の魔女の像の道はなんとハニーデュークスの地下室に直通だ。使うならここをお勧めするぜ!」
「ムーニー、ワームテール、プロングズ、パッドフット達よ……」
「嗚呼、偉大なる先人達よ。我々は諸兄らにどれ程のご恩を受けた事か……」