第14章 【Shit】
それから数日が過ぎ、ハリーに嬉しい知らせが届いた。なんとクディッチでレイブンクローがハッフルパフに大勝したらしい。これにはハリーも喜ばざるを得なかった。
これでグリフィンドールが、崖っぷちには変わりないがまた優勝争いに復活できる。ウッドは再び情熱を取り戻し、より一層練習に力を入れた。お蔭で宿題もままならない日々が続いた。
それはクリスにも同じことが言えた。クリスの場合、愛しいルーピン先生にクリスマスプレゼントのマフラーを編むために、空いている時間は編み物に熱中していて宿題を片付ける時間が無くなった所為だったが。
初めての手編みと言う事で、時々「あッ!」だの「う~」だの声をあげて、失敗しては編み直し、失敗しては編み直しながら、それでも苦労の甲斐あって少しずつマフラーを長くしていった。
そしてマフラーがついにひと巻き以上出来上がるころには、ホグワーツ城内はすっかりクリスマス・ムードになっていた。
ハグリッドの小屋は屋根に雪が積もり、可愛い置物の様になっていた。森も同様に雪が積もって白と緑のコントラストがクリスマスが近づいている事を教えてくれた。
それに加え、『呪文学』のフリットウィック先生の教室では、キラキラ光る妖精が飛び回り、辺りを輝かせていた。皆この妖精の光を見てうっとりしていた。
クリスマス休暇が近づき、皆どうクリスマスを過ごすのか話し合っていた。ロンとハーマイオニーはもうホグワーツに残ることに決めていたが、クリスはまだ考えている最中だった。
毎年、母の墓参りもあって実家に帰っていたが、今年はハリーの事もあるし、それにルーピン先生も学校に残るかもしれない。そう思うと、学校に残りたいという気持ちが強くなってきた。それに、出来るならクリスマスの日に直接ルーピン先生にプレゼントを渡したい。それで先生の喜んだ顔が見られるのなら――そう考えて、クリスは今年初めてホグワーツに残ることを決意した。
恋する乙女は、どこまでも一途で、どこまでも止まるという事を知らない、暴走機関車のようだった。